放置された空き家が廃墟化することで、景観の悪化、倒壊のリスク、衛生上の問題など近隣にさまざまな悪影響を及ぼすことが行政をも動かす社会問題になっています。空き家問題を中心に、知っておきたい空き家の相続対策と活用方法についてご紹介します。
購入者が見込めそうであれば【売却】
所有している空き家に心情的なこだわりがなければ、売却するのがもっともメリットの高い方法です。
売却することで対価を得られ、処分するための時間や費用をかける必要がありません。
デメリットとしては、必ずしも購入者が見つかるとは限らないということです。
空き家をそのまま売却するのが難しければ、リフォームをしたり、建物を解体したりする必要があります。
そういった費用をかけても購入が約束されているわけではないので、どこまでやるのか判断が重要となります。
価値が低く売却が難しければ【譲渡】
空き家自体の価値が低く売却するのは難しいという場合には、譲渡を選択することをおすすめします。
親族や空き家の建っている土地の地縁の方など、空き家を活用できる人に無償で譲渡をします。
所有者としては譲渡することで固定資産税や都市計画税、また維持管理にかかる費用を支払う必要がなくなります。
譲渡の場合のデメリットは、金銭的対価が発生しないため仲介をする人がいないことです。
そのため、譲渡にあたって譲渡先との決め事や書類作成なども全て自分でやる必要があります。
立地がよく建物がしっかりしていれば【賃貸】
空き家自体がまだ住める状態だったり、立地がよく需要があったりする場合には、建物や土地を賃貸することをおすすめします。
賃料収入を得ることで、税金や維持管理の費用だけでなく、利益を出せる可能性もあります。
デメリットとしては、やはり借り手がつく保証がないことです。
特に建物を賃貸する場合には初期投資が必要なため、しっかりと判断しましょう。
空き家を売却する2つの方法
◇空き家として売却
水回りの設備に故障や不備がなく外壁や屋根も問題ないような場合には、土地と建物をセットにした売却となります。
その場合は、不動産業者に査定を依頼して適切な価格で売却活動をスタートさせましょう。
購入者が見つかれば、あとは金額や引き渡し時期についての交渉となります。
このケースの場合、建物に値がつくため利益が大きくなることがメリットですが、その分売却までと売却してからも建物の状態には気を遣います。
設備の不具合など建物のマイナス面を隠したりするとかなりのデメリットとなるため、注意が必要です。
建物を修繕する必要がある場合
水回りの設備が故障していたり、屋根や外壁からの雨漏りがあったりするような場合には、それを修繕してから売却する必要があります。
しかし、外壁や屋根の修繕となるとかなりの費用がかかることがデメリットです。
それを上回るだけの売却益が得られるかどうか、売却を得意とする「あやめ不動産」にご相談ください!
◇土地として売却
建物を修繕するには費用がかかりすぎる場合や、修繕してもとても住めそうにない場合は更地にして土地として売却をします。
更地は最も買主がつきやすいため、売却活動が速やかになるのがメリットです。
ただし、建物を解体する費用は売主の負担となるのがデメリットです。
古家付き土地で売却する方法も
建物の解体費用を節約したい場合には、「古家付き土地」として売却するという方法もあります。
「古家付き土地」とは、土地として販売しているけれど現況は古家が建っているというものです。
古家付き土地で売却活動をすると、更地にするより古家が建っていたほうが固定資産税の特例が適用されるため節税効果があります。
もちろん更地のほうが売れやすいため、古家付きで売却する場合には更地に比べて値段を下げる必要があります。
空き家を処分するまでの流れ
空き家を処分する場合、まずは建物の賃貸から検討しましょう。
賃貸が難しければ建物の売却、建物の売却が難しければ解体して土地の売却、それも難しければ譲渡というように進んでいきます。
【ステップ1】不動産業者に賃貸と売却の査定依頼
まず、現存する建物が賃貸または売却できるかどうかの検討から始めます。
不動産業者に依頼すれば、賃貸や売却が可能かどうか、想定される賃料や売値
必要なリフォームなどを提案してくれます。
ここで気を付けたいのは、不動産業者に査定依頼をすることです。
【ステップ2】賃貸または売却のためのリフォーム工事
賃貸や売却ができるとしても、そのままではなくリフォームが必要な場合がほとんどでしょう。
リフォームにどのくらい費用をかけるかは、不動産業者との話し合いになります。
また、リフォーム工事を別会社に発注することはできるだけ避けたほうがよいでしょう。
リフォーム工事を請け負ったことで不動産会社に責任感が生まれますし
顧客のニーズに沿ったデザインや設備を提案してくれるからです。
賃貸や売却が難しければ業者による買い取りも
賃貸や売却に出しても借主、買主がつかない場合、不動産業者による買い取りも検討
するとよいでしょう。
通常の売却よりも2割から5割程度金額が下がりますが、短い期間で手続きが済むなど
メリットもあります。
無償譲渡する場合にも、お互いに合意した条件で書面を作っておくことが必要です。
空き家を処分するといっても、それが自分の生まれ育った実家であれば
思い入れもありなかなか処分に踏み切れないとなるのも当然です。
しかし、自分の代で空き家が処分できなければ、子どもたちがそれを受け継ぐことになります。
そうして年月が経ち空き家が古くなればなるほど、管理も処分も難しくなります。
古くなりすぎて手が付けられなくなる前に、できるだけ早く処分に着手することをおすすめします。