開発許可とは
市街地の開発をコントロールする制度
土地の所有者が好き勝手に開発を進めたら、どのような街ができてしまうのか想像してみてください。
中心街となる地域がなくなったり、住宅が多い地域に広い工場があったりして、住みにくい街になってしまいます。
そこで土地は地域ごとに区域区分という線引きで、利用用途を制限しています。開発許可は、無秩序な開発を防ぎ住みやすい街を形成するために、区域区分を担保として開発をコントロールする役割があります。
許可が必要になる開発の定義
土地の利用用途で何にでも許可を必要としていては、申請に膨大な手間がかかってしまいます。
この制度で許可が必要な開発とは、次の3つが該当します。
・建築物の建設
・第1種特定工作物の建設
・第2種特定工作物を建設するための土地区画の変更
建築物の判定は厳しく、屋根と柱・壁から成り立っていたら開発許可が必要です。基礎工事が不要のユニットハウスやコンテナ、テントでも建築物となります。
第1種特定工作物とは、コンクリートやアスファルトのプラント、危険物の貯蔵や処理をする施設のことです。
第2種特定工作物はゴルフコース、1ha以上のレジャー施設・競技場のことを指します。土地区画の変更とは、農地を宅地にしたり、広い土地を分譲住宅にするため道路を新設したりする行為です。
個人の土地活用では、建築物を建設するための開発許可がメインです。ゴルフコースやレジャー施設の開発は、広大な土地や山を所有している人なら関係があるでしょう。
開発許可の違反をした時の罰則
許可が必要な土地で勝手に開発を進めると、都市計画法という法律の違反になります。
監督処分の対処になると、使用禁止になったり建物の除去を求められたりします。
監督処分の対象は、建築物を建てた人だけでなく、違法な建築物があると知りながら土地を購入した人も含まれます。購入する土地に小さくても建築物がある場合は注意しておきたいです。
土地の区域別の規制対象となる開発の規模
規制の対象は区域区分によって規模が異なり、次の5つに分類されています。
・市街化区域:1,000㎡(3大都市圏の既成市街地や近郊整備地帯では500㎡)以上
・市街化調整区域:全ての開発
・非線引き都市計画区域:3,000㎡以上
・準都市計画区域:3,000㎡以上
・都市計画区域・準都市計画区域外:1ha以上
市街化区域や非線引き都市計画区域、準都市計画区域では、条例により300㎡まで引き下げられている場合があります。
※規模が大きくても、公共性の高い図書館や公民館であれば規制の対象外です。
開発許可の申請で必要な書類
・開発行為許可申請書
・公共施設の管理者の同意・協議書
・土地や建物の権利者の同意書
・土地や建物の権利者で開発に同意した人の印鑑登録証明
・予定している建築物の概要書
・設計の説明書
・資金計画書
・申請する人の業務経歴書
・申請する人の納税証明書(前年度分)
・工事を施工する人の建設機械目録・技術者名簿・工事経歴書
・建設業許可証明書
・建築物を設計した人の資格の証明書
-開発許可の申請で失敗しない3つの方法-
行政書士に依頼をする
行政書士は、役所に提出する書類や権利関係の書類の作成を行ってくれる資格を持つ人で、開発許可の申請を依頼することができます。
開発内容によっては道路や水路に関する申請も必要になり、行政書士に依頼していれば、スムーズに申請を通すことができるでしょう。
行政書士に開発許可の申請を依頼した場合、相場は30万~40万円です。
事業用の申請で高額になりやすく、広い土地では90万円程度かかることもあります。内訳には司法書士への報酬、申請の手数料、必要書類のための諸経費が含まれます。
許可申請の代行サービスを利用する
開発許可申請の代行は、建築事務所や専門の代行サービスへ依頼することになります。
市街化調整区域などで農地を宅地にして自宅を建てる予定なら、設計をしてもらう建築事務所に代行の依頼をすると、短期間で申請にこぎ着けられるでしょう。
代行サービスを利用した場合、事前調査で約5万円、申請で約30万円かかります。
別途で役所に支払う手数料を請求されるため、トータルの費用は行政書士に依頼した場合と大きく変わりません。
手続きが完了するまでの流れも同様で、相談から始まり事前調査や事前協議をしていきます。
土地活用の業者に依頼する
開発許可を得て土地活用を始めるまでの近道は、目的の土地活用を専門としている業者へ依頼して、引き渡しまでのサポートを受けることです。専門的な知識がなくても、開発許可が必要な土地活用を始めやすいです。
市場調査後にプランの設計や提案をしてもらえるため、開発許可が不要の土地活用が見つかるかもしれません。
実際に工事をする業者への手配もしてくれるため、自身で段取りを立てなくてよくなります。
開発許可にかかる費用は、他の工事や申請の費用も含めて請求されます。事前に土地活用の収支までシミュレーションでき、開発の後悔はしにくくなるでしょう。

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