■共有者は共有持分を放棄することができる■
共有者は自分の持分を放棄することができ、持分を放棄した場合、放棄した共有持分は他の共有者のものになります。
他の共有者の持分割合に応じて、分割されるので、共有者の一方的な意思表示だけで、共有持分の放棄ができます。
他の共有者の承諾は必要ありません。
共有物を放棄するのに、決まった文書が必要といったことはありません。口頭の意思表示であっても効果が発生します。
口頭で通知するより、文書で通知することをおすすめします。
後でトラブルになることを防止するため、内容証明郵便で通知するといいでしょう。
■持分移転登記は共同申請■
共有者が持分を放棄した場合、他の共有者に持分が移転します。他の共有者に持分が移転した場合、持分移転登記の申請が必要です。
持分の放棄は、一方的な意思表示で効果が発生しますが、登記は単独で申請することができません。
持分の放棄をする人を登記義務者、他の共有者全員を登記権利者として共同申請をします。
持分の放棄は、口頭の意思表示であっても効果が発生しますが、登記申請においては持分の放棄があったことを証明する書類が必要になります。
■共有持分が高額である場合、税金に注意■

共有者の一方的な意思表示で、共有持分の放棄をすることができますが、財産を譲ってあげる人と譲ってもらう人の契約である贈与とは別物です。
法律においては贈与ではないにもかかわらず、税金においては贈与税が課されます。共有持分が移転するという意味では、贈与と実質的に同じ効果だからです。
贈与税の免脱行為として、持分の放棄を使うことを防ぐため、共有持分の評価額が高額である場合、他の共有者に贈与税が課される場合があります。
固定資産税は、1月1日現在の登記名義人が課税対象者になりますので、年内に持分の放棄の意思表示をした場合、年内に他の共有者に権利が移転します。
持分移転の登記が年を越した場合、所有権がないのに固定資産税の納税義務者のままになります。
■マンションは共有者が取得できない■
マンションは、建物部分と敷地権の共有部分があります。建物部分は単独所有、敷地権は共有です。
建物部分と敷地権の共有部分は、所有者を一致させるルールになっています。(所有者を一致させないと、売却のとき混乱するからです。)
相続債権者も特別縁故者もいない場合、相続財産は国庫に帰属します。建物部分は単独所有なので、国庫に帰属します。
所有者を一致させるルールを守る事で、敷地権が共有になっていても他の共有者が取得することはできません。
建物部分が国庫に帰属しますから、所有者を一致させるルールによって、敷地権も国庫に帰属します。
■生前対策がしてあると手続がラク■
相続人がいないおひとりさまは、遺言書を書いて財産の行き先を指定しましょう。
共有持分は、遺言書で共有者に遺贈することや死因贈与をすることができ、相続財産清算人と家庭裁判所の手を借りて、1年以上の時間をかけて手続するよりはるかにラクです。
遺贈は、相続人や相続人以外の人に、財産を受け取ってもらう制度です。
だれに受け取ってもらうかは遺言者本人が決めることができますので共有持分を特別縁故者に遺贈することや死因贈与ができます。
家庭裁判所は特別縁故者と認めてくれることも、認めてくれないこともあります。
被相続人がたくさんの財産を残しても、特別縁故者が受け継ぐ財産はほんの少ししか認められないこともあります。

相続する、する予定の不動産を【相続不動産の専門】ならワンストップで依頼することができ楽チンです。
煩わしい所有権移転・遺産分割協議・相続登記など弊社なら一括して請け負いさせて頂きます。
不動産屋だからこそ、「大切なご家族が争う事がないよう 遺産の分割方法を考えてみませんか?」