農地の納税猶予とは
農家を継ぐたびに膨大な相続税がかかってしまうと、農家離れが進んでしまいます。
そこで、それを防ぐために設けられているのが「農地の納税猶予特例」です。
「農地の納税猶予特例」とは、農業を営む人が農地を相続することになった際、農業を継続する間は、それにかかる相続税の
支払いに猶予が与えられる制度です。
農地の納税猶予が受けるための要件は以下のとおりです。
【被相続人の要件】
・被相続人が死亡日まで農業を営んでいた人
・生前に一括贈与をした人
・死亡日まで特定貸付けまたは認定とし農地貸付などを行っていた人
【農業相続人の要件】
・相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後継続して農業を行う人
・生前一括贈与を受けた人
・相続税の申告期限までに特定貸付または認定の内貸付等を行っていた人
「猶予が与えられる」と言いますが、該当する日を迎えると、事実上免除されます。
農地の納税猶予を受けるための手続き
農地の納税猶予特例を受けるには、手続きが必要です。手続きのおおまかな流れは以下のとおりです。
なお、猶予を受け続けるためには、3年毎にこれらの手続きを繰り返す必要があります。
農地売却時の手続き・納税猶予に関する注意点と罰則について「あやめ不動産」
STEP①各市区町村農業委員会で証明書を発行する ※神戸市:各種証明
はじめに農地がある地域の農業委員会に「引続き農業経営を行っている旨の証明書」を発行してもらいます。
STEP②相続税の申告期限内に税務署に報告
相続税の申告期限内に、農地の納税猶予特例を利用する旨を報告する。
なお、この際には納税猶予額と利子税に見合う担保を提供しなければいけません。
STEP③「相続税の納税猶予に関する適格者証明願」を提出
農業委員会の窓口に、「相続税の納税猶予に関する適格者証明願」を提出します。提出後、農業委員会によって現地調査が行われ、
適格と判断されると「相続税の納税猶予に関する適格者証明書」が発行されます。
STEP④税務署に申告
相続税の申告期限内に、税務申告書類と「相続税および贈与税の納税猶予に関する適格者証明書」を税務署に提出し、
相続税の申告を行います。
農地の納税猶予を利用する際の注意点とポイント
農地の納税猶予の特例は農家を継ぐ方にとっては、大きなメリットのある特例ですが、いくつか注意点もあります。
あらかじめ理解しておきましょう。
□農業をやめた際には利子付きで納税しなければいけない□
農地の納税猶予の特例は、農地を相続した人が農業を続けることを条件に相続税を猶予・免除する制度です。そのため、農業を辞めた際には納税しなければいけません。
また、猶予を受けてから農家をやめ、納税する場合は相続税に利子が加算されます。農地の種類にもよりますが、利子は
年3.3%〜年6.6%と、小さな額でもないので注意しましょう。
□相続人以外が譲渡された場合は利用できない□
農地の納税猶予の特例は、相続、生前贈与どちらであっても「相続人」である人が農地を受け取った場合に限ります。そのため、他人に譲渡した場合は利用できません。
□耕作をしていない場合は適用されない□
農地を相続しても、その農地で耕作をしていなければ適用されません。他の用途で使用した場合は、その時点で猶予が取り消され、納税しなければいけないので注意してください。
ただし、以下のような理由で一時的に耕作をしていない場合は「休耕地」として納税猶予の対象となります。
・災害や病気等のため、一時的に耕作ができない農地
・土地改良事業・土地区画整理事業などによって農業に使用できない農地
・国や地方公共団体等の事業のために一時的に農地以外の用途で使用されている農地
□農地を共同名義で相続した場合、農業を行わない人の取得分は適用されない□
農地は、2人以上の相続人で共同名義にすることも可能です。
その場合、共有している人たち全員が農業を行えば、全員が特例を利用することができますが、農業を行わない人がいる場合は、その人の取得分については特例が適用されず、相続税を支払わなければいけません。
□未成年や学生などすぐに農業を開始できない人でも適用される□
未成年や学生などで、すぐに農業を開始できない人が相続した場合、その人と同居していて同一生計にある家族が農業を営んでいれば、特例は適用されます。
ただし、相続した未成年や学生の相続人がが成人、または卒業し、農業を営むことができる環境になった際、相続人が農業を営まなかった場合、その時点で猶予は取り消されてしまいます。
農地の納税猶予特例は、一生涯農家を営むのであれば非常にメリットの大きい制度です。
猶予を受け続けるには3年毎に手続きを行わなければいけないので、絶対に忘れないようにしましょう。
市区町村によって差異はございますが、納税猶予が終了またはあける農地をどうすれば…と悩まれている場合、
通常の不動産業者では【農地】は複雑な処理・届け出が必要なために、田んぼ・畑を専門に取り扱う業者に依頼された方が
スムーズになります。
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