共有不動産とは、複数の人が同一の不動産に対して所有権を持つ形態のことです。
相続や夫婦での住宅購入など、さまざまな状況で共有不動産が生じる可能性があります。
共有名義の不動産を所有している方は、賃貸収入の分配や管理方法についてお悩みではないでしょうか。
共有者間で適切な取り決めをしないと、賃料の独占や管理費用の負担をめぐる対立など、深刻なトラブルに
発展するリスクがあります。
そのため、共有不動産の基本的な概念や管理運営のポイントについて知っておくことが必須といえます。
共有不動産が生じるケース
共有不動産は、さまざまな状況で発生します。最も一般的なのは相続によるケースです。
例えば、親が所有していた家屋を子ども複数人で相続する場合、その不動産は共有状態となります。
夫婦で住宅ローンを組んで購入した家も、法律上は共有不動産となることがあります。
なお、事業用不動産では、複数の企業が共同で土地や建物を購入する際に共有形態を取るケースも存在します。
さらに、隣接する土地所有者同士が協力して一つの建物を建てる場合も、その建物は共有不動産となります。
このように、共有不動産は日常生活や事業活動の中で、意図的に作られることもあれば、状況によって
自然と生じることもあるのです。
共有不動産の賃貸収入分配の基本ルール
共有不動産から得られる賃貸収入の分配は、しばしば共有者間のトラブルの原因となります。
適切な分配を行うためには、法律上の原則や賃貸収入の性質を理解し、具体的な分配方法を明確にしておく必要があります。
ここでは、賃貸収入分配に関する重要なポイントを解説します。
法律上の原則-持分に応じた分配
共有不動産から生じる賃貸収入の分配については、民法の規定に基づいて行われます。基本的な原則は各共有者の持分に
応じて収入を分配することです。
例えば、AさんとBさんが1/2ずつの持分で不動産を共有している場合、賃貸収入も1/2ずつ分配されることになります。
この原則は、共有者間の公平性を保つために重要ですが、共有者間で別途合意がある場合は、その合意に従って分配することも
可能です。
不動産の管理を主に担当している共有者に対して、その労力に応じて多めに分配するといった取り決めを行うこともあります。
いずれにせよ、分配方法については共有者間で明確に合意し、書面化しておくことが将来のトラブル防止に繋がります。
賃貸収入の性質-法定果実としての位置づけ
賃貸収入は、法律上「法定果実」として位置づけられています。法定果実とは、物の使用の対価として得られる収益を指します。
不動産の場合、その使用の対価として得られる賃料が法定果実に該当します。この法定果実は、原則として収集した時点で
共有者の所有となります。
つまり、賃料が発生した時点で、各共有者はその持分に応じた権利を取得することになります。
この考え方は、共有不動産の賃貸収入分配の基礎となっています。
ただし、実際の運用においては、賃料の回収や経費の支払いなどの実務的な側面も考慮する必要があります。
そのため、共有者間で賃貸収入の管理方法や分配のタイミングなどについて、事前に取り決めを行っておくことが大切です。
権利関係が複雑な共有不動産は早期売却もおすすめ!
共有不動産は、時間の経過とともに権利関係がより複雑化する傾向があります。
例えば、相続が重なることで共有者が増加したり、共有者間の関係性が変化したりすることで、管理や意思決定が
困難になる場合があります。
このような状況では、早期に売却を検討することも1つの選択肢です。
売却のメリットとしては、複雑化する前に資産を現金化できること、共有者間のトラブルを未然に防げること、相続税対策にもなることなどが挙げられます。
売却を決断する際は、全共有者の同意が必要となるため、慎重な話し合いが求められる場合があり、売却価格の設定や
売却益の分配方法についても、事前に合意を形成しておくことが重要です。
共有不動産の売却は複雑なプロセスになる可能性が高いため、早い段階から法律や不動産の専門家のサポートを受けながら
進めることが賢明です。
共有不動産の管理運営には、共有者間の密接なコミュニケーションと明確な取り決めが不可欠です。
賃貸収入の分配ルールや管理費用の負担方法、意思決定の仕組みなどを事前に書面化し、定期的な収支報告と情報共有の仕組みを構築することが重要。
また、税務面では各共有者が個別に確定申告を行う必要があるため、専門家のアドバイスを受けながら適切に対応することが求められます。
共有不動産の権利関係が複雑化する前に、売却も含めた将来的な対応を検討することも一案です。
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