1.農地転用許可申請の提出
農地を駐車場や住宅用地として活用したいと考えたとき、避けて通れないのが「農地転用許可申請」です。
しかし、実際にどのような手続きが必要で、許可後にはどんな行動が求められるのか、全体の流れをイメージするのはなかなか難しいものです。
農地転用の手続きは、農地法第4条または第5条の規定に基づいて行われます。
まず必要となるのが、関係書類の整備と申請書の提出です。
農地転用には原則として「毎月の締切日」があり、各自治体がその日程を定めています。
たとえば神戸市では毎月10日が締切です。
提出された申請書は、まず形式的な確認(形式審査)を受け、記載ミスや書類の不足があれば「補正指示」が出されます。
軽微な補正であれば当日中に対応できますが、大幅な修正が必要な場合は後日の再提出になることもあるため、余裕をもって準備しましょう。
2.現地調査への立ち合い
書類審査をクリアすると、自治体による現地調査が行われます。
これは計画地が現実に適法な場所であるか、計画内容に整合性があるかを確認する目的で行われます。
自治体によっては申請者または代理人の立ち合いを求めることがあります。日程の変更は難しい場合があるため、事前にスケジュールを調整しておく必要があります。
この段階では計画の是非ではなく、物理的な確認が主となるため、補正の指示が出されることは稀です。
3.農業委員会および都道府県の審議
現地調査後は、農業委員会での審議に移ります。農業委員会は市町村単位で毎月開催されており、そこでの承認を受ける必要があります。
農業委員会で可決された案件は、都道府県(知事許可が必要な場合)に送付され、さらに審議が行われます。
この2段階の審査を通過して、ようやく許可が「決裁」される流れになります。
4.許可証の交付と着工の可否
許可が下りると、正式な「農地転用許可証」が交付されます。通常は役所での手交が基本ですが、自治体によっては郵送対応も可能なため、あらかじめ確認しておきましょう。
注意点として、許可証を受け取る前に工事に着手することは厳禁です(農地法違反となります)。また、受領後は原則として速やかに工事に着手することが求められます。
したがって、ハウスメーカーや施工業者と「許可証の交付日」を共有し、工事開始日の調整を行うことが重要です。
5.工事の開始と報告義務(4条・5条許可の場合)
許可証を受領したら、いよいよ実際の転用工事に着手します。
ただし、自治体によっては「工事着手報告書」や「工期延長届」の提出を求めるケースもあります。
これらの報告を怠ると、今後の申請に支障が出る可能性もあるため、必要書類の有無を事前に確認しておきましょう。
6.地目変更登記と所有権移転
農地転用によって工事が完了すると、登記上の地目を変更する必要があります。
また、売買を伴っている場合には所有権の移転も発生します。
地目変更や所有権移転の登記は「法務局」で行いますが、行政書士はこれらの登記申請を代理することができません。
表題部の登記は土地家屋調査士、権利部の登記は司法書士に依頼するのが一般的です。
法律の専門知識が必要となるため、無理に自力で行うよりも専門家への依頼を検討することをおすすめします。
7.許可証の保管と再交付
交付された農地転用許可証の原本は、将来的に土地の履歴を確認する際の重要な資料となります。必ず厳重に保管してください。
仮に紛失したとしても、再交付や写しの交付は可能ですが、行政文書には保存期間があるため、時間が経過すると交付が受けられなくなるリスクもあります。
相続や売却の場面で必要になることもあるため、半永久的に保存する意識を持ちましょう。
8.【法改正情報】農地の権利移転に関する下限面積要件の撤廃
従来、農地法第3条に基づく「権利移転(譲渡)」においては、取得者が耕作する面積が10アール(1,000㎡)以上でなければならないという「下限面積要件」が設けられていました。
しかし、令和5年4月1日から施行された農地法の改正により、この面積要件は撤廃されました。
これにより、個人や法人による柔軟な農地の取得が可能となり、農地活用のハードルが大きく下がっています。
農地転用は「申請して終わり」ではなく、許可取得後も多くの対応が求められる手続きです。
・申請前の事前準備 ・現地調査/審査 ・許可証の受領 ・工事着手/報告 ・登記変更 ・許可証の保管
これらをしっかりと理解しておくことで、無駄なトラブルや時間のロスを防ぐことができます。
また、自治体ごとに運用や必要書類が微妙に異なることがあるため、最終的には担当窓口に確認する姿勢が重要です。

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